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田平 健朗さん(つながるコーナー88)

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(ID:1648)
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    - 公益財団法人 久留米絣技術保存会 技術研修生 -
    田平 健朗さん(高樋)

誰もやらない方向に行く 奥の深い絣職人の世界へ

 絣糸と横糸から様々な模様を織りなす久留米絣。技術を突き詰めて、自分にしか作れないものを作りたいと語る、田平さんにインタビューしました。

重要無形文化財「久留米絣」の技術習得を目指す元公務員

 重要無形文化財久留米絣技術保持者会の会員になるために、研修を始めて今年で8年目です。久留米絣の中で、最も技術習得が難しい『重要無形文化財の久留米絣』に挑戦しています。無形文化財は、人間の「わざ」そのものであり、重要無形文化財は、わざを高度に体現しているものを保持者または保持団体に国が認定します。
 久留米絣は木綿糸を括り染め分け、織合わせて柄を作り出す先染めの織り物です。糸を括る作業を手作業ですることや、純正天然藍で染めること、”なげひ”の手織織機で織ることの技術を認められた者だけが保持者会に入れます。
 公務員を七年務めた後、この世界に飛び込みました。今年度の選考委員会で認定されると、来年度から保持者会の会員として活動できます。

侍に憧れた三歳

 小学生の頃から伝統工芸に興味を持ち、高校生の頃は、卒業後、漠然と職人になるために弟子入りしたいと進路相談をしました。しかし、先生や親から「一度、社会に出た方がいい」とアドバイスされ、公務員になりました。
 職人になりたいと思った最初のきっかけは、三歳の頃です。当時、テレビで時代劇を見て、「侍になりたい」と憧れました。兄の影響もあり、剣道を始めました。剣道を続ける中で、さらに侍のような生き方をしたいと思うようになりました。しかし、着物も刀も値段が高く、取り扱いも難しいことを知り、それならば自分で作ればいいじゃないかと思ったのが小学生の時です。今も三歳の頃の夢や憧れを抱き続けています。

一度死んだと思ったら、自分の好きなことに人生を使いたい

 公務員時代、重要無形文化財に指定されている久留米絣を知り、後に、自分の師匠となる松枝哲哉氏の作品と出会いました。これまでの絣のイメージと全く別物で、衝撃を受けました。弟子入りの相談をしたところ、松枝氏から全力で止められました。しかし、自分の心は久留米絣の世界に傾いていたので、次に相談に行く前に職場に退職届を出し、反対を押し切って弟子入りしました。
 実は、公務員として働いていた当時、職場から実家に帰る途中にドクターヘリで運ばれるくらいの大きな事故を起こしました。その体験から、一度死んだと思ったら、自分の好きなことをやって野垂れ死ぬ方が人生楽しいのではないかと思ったんです。

絵絣の要素を含む、誰も作ったことのない柄への挑戦

 師匠から絵のように柄を表現する「絵絣」の技術を習いました。私は、絵絣の要素を含みつつ、今まで久留米絣で表現されていない小紋柄に挑戦したいと思っています。柄が小さくなるほど手間が増えますが、誰もやっていない分野に挑戦したいです。自分がそんな柄の着物が着たいという思いもありますね。

基礎を突き詰めるスタンスは剣道と似ている

 今も週二・三日、剣道をしています。剣道は、強いかどうかだけでなく、基本的な技の精度が高いかどうかという凄さもあると思います。伝統工芸も似ており、誰も想像がつかない作品を作る凄さと基本的なことを突き詰めた作品の凄さがあります。その似た点がどちらも好きです。

いずれは自宅ですべての作業ができる環境を作りたい

 現在、藍染めなど、自宅ではできない作業は師匠の作業場を借りています。来年には藍染めも家でできるようにしたいです。そして、将来的には織物の体験教室をやってみたいです。基本的にデザインから染色、織るところまで全て一人でやっています。自分がデザインした柄が形になる感動を体験できる場が作られたらいいなと思います。作業は大変ですけどね。また、純正天然藍で染めた剣道着も作ってみたいです。

  • 作業の様子

    作業の様子

  • 受賞作品

    第79回福岡県美術展覧会で受賞した作品

    デザイン図
    a:デザイン図 b:イメージ図 c:完成した生地


つながるコーナーとは?

 町で暮らす人にスポットをあて、その人の魅力や生い立ちを紹介するコーナーです。
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