平田仁美さんと旅する今村路地裏ノスタルジック散歩 編 【後編】 最終更新日:2025年3月3日 (ID:875) 印刷 藍染作家として活躍する平田仁美さんの原点ともいえる筑後平野の夕日。 その夕暮れを待つ間、思い出の場所をテクテク散歩。 荘厳な西洋建築やワクワクが隠れた路地裏、人情味あふれる個人商店を満喫していると、そろそろ夕暮れの時間。 地平線の向こうに夕暮れは見えるのか。 そして、気になる藍染工房にも潜入!案内する人平田 仁美さん大刀洗町出身。東京の服飾専門学校で服作りを学び在学中に学校とは別に趣味で藍染めを学ぶ。2010年に藍染作家としての活動をスタート。故郷である大刀洗町に戻り、洋服やストールなどの服飾を中心に作品を制作。2012年自宅にて「airu工房」を設立。個展や作品情報はフェイスブックへhttps://www.facebook.com/hitomi.hirata.127案内される人編集部 ソガ大刀洗町には数回訪れたことがあるものの、夕暮れを歩くのは初めて。普段から町をうろうろして変なものを見つけてくるノラ猫のような性格であり、趣味は寄り道といっても過言ではない。夕焼けを見に、住宅街を抜けて田んぼの方へ。小学校の横の道路には、福岡らしい道路表示が。ソガあ、道路に「あぶなかばい」だって。「止まれ」じゃないんですね。平田さんこの辺りの通学路に2ヵ所ぐらいあるんですよ。“止まれ”より立ち止まってくれそうですよね(笑)。朝からぐずついた空模様。徐々に雲が晴れてきたけれど、夕日には出会えるのか。平田さんお気に入りの田んぼ脇の畦道で待機。ソガえ!ここに座るんですか!?車にひかれません?平田さん大丈夫!ひかれる勢いで座ってますから(笑)頭上には、ただただ空が広がるばかり。そういえば、最近こんなにゆっくり空を眺めた事あったっけ?ソガ空が広〜い。平野なので、遮るものが無いですね。平田さん仕事の合間によくここに来て空を眺めているんです。季節によって、雲の形が違って。ああ、イワシ雲だ、もう秋だなあとか。冬場はあんなふうに雲が流れて光が射します。夕日を待つ二人、突如現れるちびっ子ギャングに襲撃される一幕も子どもたち何しよると〜?私たちも撮って〜!!動画を撮っているところを囲まれるソガ!軽くあしらう平田さん。さすが元ガキ大将。平田商店で買った駄菓子を配って、ようやく解放された様子。ソガ今も昔も子どもは元気だ〜。平田さんもよくこの辺で遊んでいたんですか?平田さん田んぼで遊んでましたね。あそこに見えるお墓とかで。ソガ墓(笑)なんかシュールですね。あ!来ましたね〜!ほのかにオレンジ色に染まった雲の隙間から、夕日が顔を覗かせて。幻想的な光景にしばし見とれる二人ソガ光の感じが「降臨」って感じ。こういう感覚って、藍染に生かしたりするんですか?平田さんそうですね。積乱雲の感じを出したいな、とか思って作ることもありますよ。この後、日がゆっくりと沈むと空が少しずつ暗くなっていく時の空の色が大好きで、群青というか、深い藍色になるんです。ソガなるほどー。グレーでもない青でもないなんとも言えない味わいのある色ですね。仁美さんの工房におじゃましてもいいですか?どんなところで藍染をされているのかぜひ拝見したいです!平田さんいいですよ!では行きましょう。 夕暮れを背に歩いてすぐの平田さんの工房へ。たくさんの猫がお出迎えしてくれました。平田さん染料はこの130リットルのポリ容器の中に入ってます。ここに、何度も浸けては水洗い、浸けては水洗いを繰り返して、思う色に仕上げていきます。ソガすごく根気のいる作業ですね。最初はちょっと黄色っぽいんだ。水をたくさん使うんですね。平田さんそうなんです。だから、井戸水が使えないと、普通の水道水ならエラいことに。井戸水を使えることが、大刀洗で染めをやる理由のひとつかも。ソガなるほどー。それは大きいかもしれないですね。麻や綿、シルクやウールなど、染める生地はさまざま。それぞれの風合いを活かして、染めた布から作品に仕上げます。ソガどんな作品を作ることが多いですか?平田さん洋服やストールが主です。もともとファッションが好きで、よく服を自作していましたので、今も楽しみながら作っています。デザインは、シンプルで着やすいデザインを心がけています。デイリーに使えるけど、いつもよりちょっといいもの。楽しい気分になれる服ですね。ソガ平田さんが今日着ていらっしゃるワンピースも作品ですよね。ベーシックな形だけど、ギャザーがかわいい!藍染をやっていてよかったと思ったことはありますか?平田さん着心地がいいと言ってもらえるとやりがいがあります。あと、グラデーションがきれいと褒められた時も嬉しいです。ソガ確かにグラデーションがきれい。こういった色彩感覚って、今村カトリック教会のステンドグラスや筑後平野の夕暮れで培われたセンスなんですね。服を作る作業場は、シンプルな白一色。 壁には、昔使ったランドセルが飾られています。ソガこちらはご実家なんですよね?東京から大刀洗に戻ってきたのは何か理由があるんですか?平田さんもともと小、中、高校生の時から趣味で服作りをはじめたんです。東京の服飾専門学校で服作りを専攻して。だから、藍染めは学校の授業とは別に、趣味で学び始めたのが最初です。ソガそうなんですねー。縫製から染めまでご自分でされるってすごいなあ。平田さんそのあと、リメイクやお直しの仕事をしながら藍染めを続けてて。 独立して、実家に工房をかまえて藍染め作家として活動を始めたんです。 ソガ独立のきっかけはなんだったんですか? 平田さん仕事をしながらだと忙しいのもあって、なんだか気持ちに余裕がなくなってしまったんですね。いつもなにかに追われているような感覚。そんな中で実家に戻った時に、見慣れた大刀洗の景色を見ていたら、昔に戻った気がして。ものづくりが大好きだった頃を思い出させてくれました。ソガさっき眺めた夕暮れや町並み、故郷の景色で創作意欲を取り戻したと。平田さんそうなんです。今も仕事の合間に夕日を眺めたりして、気持ちをリフレッシュしています。いつかは夕日から夜にかけて、オレンジ色が藍色に変わる瞬間の色を出したい。ソガそれは楽しみですね!今後の野望は?平田さん着てくださったお客さまが「私の染める藍色が好き」だと言われる服作り、そしてゆくゆくはお店を持ちたいです。ソガ素敵!私もぜひ一度着てみたいです。大刀洗の空色ワンピース。平田さんの工房を後にして、最初の合流地点の今村カトリック教会への帰り道。ちょうど日が落ちたすぐで、薄くオレンジのラインを引いた宵闇の空が満天の星空をまとって、目の前に広がっていた。平田さんが染め上げたストールのような、どこかに温もりを秘めた深い藍色。ひたむきに作品と向き合うアーティストの原動力は、とても身近なところにあった。また一つ、大刀洗の魅力を教えてもらった気がする。今村カトリック教会八角形の塔が目印。現役の教会として使われているので観覧の時はお静かに。住 所福岡県三井郡大刀洗町大字今707電話番号0942-77-0101(大刀洗町役場地域振興課)営業時間拝観/9時00分〜17時00分(日曜12時00分〜17時00分)http://kankou.chikugolife.jp/search/shop/detail.html?id=39中原鮮魚店福岡県内各地の新鮮な魚介を販売。店内で刺し身にさばいてくれる。住 所福岡県三井郡大刀洗町大字上高橋1554 - 3電話番号0942-77-0223平田商店食料品や生鮮食品、惣菜など種類豊富にそろう。角打もあり。住 所福岡県三井郡大刀洗町大字今807‐1電話番号0942-77-0228平田仁美さんと旅する今村路地裏ノスタルジック散歩前編へ